IRENG07ワーキンググループ報告
WGA、杉本
8/27にWG-A電話会議が開催された。
この電話会議では、M.Beidenbachの"ILC Detector Strategy Questions"とこれに対するN.Meynersによる即答・コメント、そして、杉本の"FD Support and Pacman for GLDc"の報告があった。 Pacmanとは加速器トンネルと測定器の間のビームラインを放射線シールドするコンクリートの固まりであり、SLDやLHCの場合は加速器トンネルより支持されている。
M.Beidenbachは、今まで『暗黙の了解事項』としての仮定(basic assumptions in the GDE-RDR studies)に対して、再検討を提案した。その主なものは;
- 地上での測定器のassembly方法の根拠となっている地下実験室完成までの期間の短縮の可能性と地下でのassemblyの有利性
- 大きな直径のshaftが想定されているが、SiDでは6x7mでよく、クレーンの容量は400tでよい(surface assemblyの場合、2000tクレーンを搬入用としている)。
- 地下空洞(実験ホール)の断面形状、なぜ円形か。これはCERNサイトの場合ではないか。2つのshaftは安全性からか。第2の避難路はビームライン(トンネル)利用が可能か。shaftをgarade位置の真上にできるか。
- すべてのサンプルサイトが100m以上の地下となっている。これは政治的な理由か。
- LHCの影響:ILC測定器が自己シールドで無ければならない理由は何か。ビームラインからの放射線のシールドか。LHC測定器から大量のケーブルがでているが、ILCでは少数のファイバーケーブルのはず(少なくともSiD)。LHCでは電源などのためにシールドされたサービス空洞が実験ホールに併設されている。ILCでこれら電源を測定器に近づけられるか。
- Platformの使用で実験ホールが大きくなるのではないか。これの使用による技術上の危険性があるのではないか。
- Push-pullでの測定器交換に要する時間が増えるとルミノシティーが減る。どこから、"sociological"問題がでてくるのか。時間がかかる交換は一つの測定器につながるのではないか。何が交換時間を決めているのか。ソレノイド励磁をやめて交換するのは明白か。
- ILCの扁平なビームに対して振動問題は十分考慮されているか。バンチ長の短いビームに対して、EMI (Electro-Magnetic Interference)の影響はどうか。
- 地震の多い地域(例えば、日本やカリフォルニア)での建設になったらどうするか。
- ビームライン上での測定器の維持管理;ビームラン中測定器にアクセス可能(SiDでの仮定)。endcap部分の2mの移動は適当か。特に、"plug" style doorの場合?実験ホールの幅に影響するか。
- Garage上での測定器の維持管理;ビームライン上の測定器との干渉はないか。ここでの作業仮定としてVTXの修理のためtrackerを出さなければならないこととなっているのか。クレーン使用は加速の運転と干渉するのか。
- このワークショップでは以上のようなパラメータを決定するのか、または、オプションを検討するのか。
これに対するN.Meynersの回答はかれのスライドを参照してほしい。特に最後のslideのSUMMARYはLDCグループ内の意見を反映しているものと思われる。また、WG-Aの議事録も参照してほしい。
杉本は、QD0のendcapでのサポートの場合、および、(support tube使用で)platformよりのサポートについての実験ホールの大きさとPanman設計の(再)検討を報告した。
endcap(一体もの)はVTX, intermediate/forward trackerなどTPC内側の測定器の修理のためにTPC(長さ4.5m)を完全に引き出すとすると、実験ホールの幅は少なくとも23m必要である。また、TPC移動のなく、クレーン領域や安全性を無視したとき最小の幅は20mである。すなわち、2 x (測定器半分7m + 1.5mのendcap開閉 + 1.5mのQD0クライオスタット設置)=20mである。
QD0をSiD方式の断面2x4cm2、4m長のレール2本でサポートし、endcap移動時にFCAL,タングステンマスク(300kg)をサポートする場合、レールは破断してしまう。したがって、このSiD方式はGLDでは採用出来ない。 このレールの変形問題はSiDで検討中とのことであった。
電話会議では、この案に対して、TPCを取り出す場合、測定器全体を左に移動することはできないかとの質問があった。これに対して、このような作業は1年に1回(Belle測定器の経験)程度有り、測定器全体の移動ごとに磁場測定をし直さなければならないと答えた。
platformよりQD0をサポートする場合のPacmanの新設計とそれらの設置手順を再検討した結果、実験ホール幅は23mにできる。これはendcapサポートの場合と同じである。また、上と同様にクレーン領域や安全性を無視したとき最小の幅は21mである。
この場合、避難時測定器の反対側に行けなくなる。電話会議では、床の下に避難用のトンネルを設ければよいとの提案があった。
WGC、榎本
9/28にWG-C電話会議が行われた。そこで、IRENG07のagendaが話し合われ、3つのセッションのconvenerを決めた。榎本は、safety issueのsessionを担当する。
crab cavityのklystronの設置場所、パルスのフィード方法などが議論された。その設置場所としては実験ホールまたは拡張サービストンネルの2つが考えられる。
また、両側のcrab cavity間に直径10cmの光ファイバーケーブルを通す3つのルートが提案された。
IRENG07ではWG-Bなどとjoint sessionを持つことになっている。これらのセッションではconvenerが予め質問事項を出して問題点を明らかにして進めることとなった。
真空システム、末次
IR領域での真空度を10-9Torrとする。IR近くにイオンポンプを設置出来ないので、chamberの内部にNEGのcotingして200℃でbakingにする必要がある。この方法は吸着型のため、定期的に暖めなくてはならない。
測定器サイド(田内、山本均)から200℃のbakingは難しいと指摘されているので、bakingが本当にいるのかを検討している。ポンプなしでは、真空度は10-8Torr ( 10-6Pa)となるであろう。 もし、この真空度で不十分なら、スリット上のポンプを設置しなければならない。
- Q : その場合、cone状の beam pipe中に、長さ2mで30-40mmのスリットを作りそこにpumpを入れられるか?
- A : beam pipe周辺には測定器が有り、また、できるだけ物質量をすくなくしなければならないためできない。
- C : IR領域の真空度は10-8Torr ( 10-6Pa)で十分と思われるが、ビームガスバックグランドのシミュレーションで確かめる必要がある。これは、阿部氏がLCBDS(GEAN4)で計算することができるであろう。