Speaker
Ms
Megu Kubota
(Student)
Description
我々は、NASAの小型衛星ミッションである PRAXyS (Polarimeter for Relativistic Astrophysical X-ray Sources) 衛星搭載に向けて光電効果を利用した偏光計の開発を進めている。入射X線は偏光計内部のガスとの相互作用により、X線の電気ベクトル(偏光)方向に依存した方向に光電子を放出する。光電子は周囲のガスを電離して2次電子を生成し、飛跡上に残った電子雲を我々はTime Projection Chamber 技術を用いて2次元イメージとして撮像する。こうして得られた飛跡イメージから光電子の放出方向を求め、その角度分布から入射X線の偏光方向および偏光度を特定する。しかし、電子雲の電子数は6 keVで230個程度であるため、このままでは信号として読み出すことができない。そこで、我々の偏光計には電子雲の形を崩さずに電子を増幅させるために、GEMを利用している。偏光計で使用するGEMは厚さ100 µmで、絶縁体としてLiquid Crystal Polimer (LCP) を使用している。
偏光計で使用するGEMの試験において、ArCO2 (70%/30%) ガス中で、200 umに絞ったX線をGEMに垂直に照射した場合、エネルギー分解能は約16%だが、有感領域の全面に照射した場合では、分解能が40%を超えるものが存在しており、この原因は増幅率の場所依存性によるものと考えられていた。そこで、増幅率の2次元スキャンを行った結果、エネルギー分解能と増幅率のばらつきとの間に相関があることが明らかになった。さらに、別途に行ったLCPの厚み測定から、増幅率とLCPの厚みに強い負の相関があることが確認できた。これらの結果からエネルギー分解能はLCPの厚みのばらつきによって決まっていることを初めて明らかにすることができた。また、厚み測定の結果から厚みのばらつきはランダムではなく、LCPの圧延方向に沿って帯状に分布していることがわかった。本公演では、 GEMの増幅率の場所依存性と絶縁体の厚み測定の結果を示すとともに、GEMの品質を向上させるための製造プロセスを提案する。
Primary author
Ms
Megu Kubota
(Student)
Co-authors
Dr
Asami Hayato
(RIKEN)
Dr
Joanna Hill
(NASA/GSFC)
Kazuki Nishida
(Tokyo University of Science)
Dr
Keith Jahoda
(NASA/GSFC)
Dr
Kevin Black
(NASA/GSFC)
Takao Kitaguchi
(Hiroshima University)
Dr
Teruaki Enoto
(Kyoto University)
Dr
Toru Tamagawa
(RIKEN)
Dr
Wataru Iwakiri
(RIKEN)
Ms
Yoko Takeuchi
(RIKEN/Tokyo University of Science)