Speaker
Takao Kitaguchi
(Hiroshima University)
Description
我々は天体からのX線の直線偏光を 2020 年代に観測することを目指し、
NASA/GSFC と共同で PRAXyS 衛星計画を推進しており、衛星に搭載できる
GEM-TPC 偏光計を、米国で製作してきた。
それと並行して、偏光計の性能をより迅速かつ柔軟にテストするために、
衛星への搭載基準 (重量、耐震、ガスの寿命など) は満たさないが、装置の
キーデバイスは同一のものを使い、同等の変調因子が期待できるX線偏光計を、
国内で製作した。
X線はガスと光電効果を起こしやすく、光電子を生じる。その射出方向は、
入射X線の電気ベクトル方向に偏るため、光電子の飛跡を撮像し、その射出
方向の分布を調べることで、X線の偏光の強さおよび向きを測定できる。
そこで我々は、21 cm角の立方体チェンバーの中に、マイクロパターンガス
検出器をインストールして、その中を 190 Torr のジメチルエーテルで
満たした。X線をチェンバー内に入れて発生した光電子の飛跡を、
GEM で増幅し、1次元のストリップ電極で読み出して、TPC 技術で撮像した。
電荷を収集するストリップ電極は、121 um ピッチで 128 ch であり、
それらから電荷を既定周期で連続して読み出すために、
CERN/RD51が開発および販売している、APV25 ASICチップ、ADCカード、
およびフロントエンドカードから成るScalable Readout Systemを利用した。
さらにデータ取得と同時に偏光測定結果を表示できる DAQ ソフトウェアも
自作した。
製作した国産偏光計を、シンクロトロン放射光施設SPring-8のビームライン
BL32B2を用いて、詳細な性能評価を行った。X線エネルギーは、4.5 から
7.5 keVまでスキャンし、さらに各エネルギーで偏光感度の位置依存性および
角度依存性を調べた。
得られた光軸中心近くの変調因子は、4.5 keV で約 40% で、入射X線
エネルギーを上がると 50% まで増加した。
まだビーム照射位置を変えてドリフト距離を短くすると、電子拡散が小さく
なるため、変調因子は 10%/cm ほど増加した。
これらの測定結果により、国産偏光計は、衛星搭載用のものと同程度の
偏光感度を持つことがわかった。
Primary author
Takao Kitaguchi
(Hiroshima University)
Co-authors
Asami Hayato
(RIKEN)
Kazuki Nishida
(Tokyo University of Science)
Ms
Megu Kubota
(Student)
Teruaki Enoto
(Kyoto University)
Toru Tamagawa
(RIKEN)
Wataru Iwakiri
(RIKEN)
Yoko Takeuchi
(RIKEN)