Dec 4 – 5, 2015
広島大学先端物質科学研究科
Japan timezone

高い電子透過率をもつ GEM 型陽イオンゲート装置を備えた ILC-TPC 検出器モジュールの開発

Dec 5, 2015, 9:00 AM
20m
401N講義室 (広島大学先端物質科学研究科)

401N講義室

広島大学先端物質科学研究科

東広島市鏡山1-3-1 (広島大学東広島キャンパス)

Speaker

Dr Katsumasa IKEMATSU (Saga Univ.)

Description

国際リニアコライダー (ILC) 実験の中央飛跡検出器として、International Large Detector (ILD) コンセプトグループでは MPGD を用いたタイム・プロジェクション・チェンバー (TPC) を採用し、研究開発を行っている。  ILC の衝突バックグラウンド環境を考慮すると、TPC 端部検出器の電子増幅部で発生する陽イオンのドリフト領域への滲み出しは大きな電場非均一性をもたらす。そのことを原因とする再構成トラックの歪みについて、MPGD の備える陽イオンフィードバック抑制機能およびソフトウェアによるオフライン補正を用いても要求される性能を達成することは困難であり、陽イオンゲートの装備が望まれる。この場合、ILC のビーム構造から、陽イオン塊は 1 cm 厚のディスク状に滞留するので、陽イオンゲート装置は電子増幅部からカソード側 1 cm の位置に配置されれば良い。そこで我々は陽イオンゲート装置と端部読み出し部が一体となった TPC 検出器モジュールの検討を進めてきた。  しかしながら、従来型のワイヤーを用いた陽イオンゲート装置をモジュール内に組み込むには、ワイヤーテンションを保持するための構造が必要となり、不感領域を増大させてしまう問題があった。そこで我々は、ガス電子増幅器 (GEM) を電子増幅器としてではなく、GEM 電極間の電位差 10 V 程度の低電圧モードで動作するイオンフィルターとして用いることに注目してきた。本講演では、高い電子透過率をもつ GEM 型陽イオンゲート装置を組み込んだ ILC 実験用 TPC 端部検出器モジュールの開発について報告を行う。

Summary

ゲート開状態において、荷電粒子が電離・生成する1次電子の喪失を最小限に抑え位置分解能の悪化を避けるには、80 % 程度の電子透過率を誇る GEM 型フォイルが必要不可欠となる。ILC 実験のための TPC は 3.5 テスラの磁場中に置かれ、かつ、2.3 m の長いドリフト距離において 100 ミクロンという高位置分解能を達成すべく、ガス分子の平均自由衝突時間 (τ) の大きなガスを用いていることから、高い電子透過率を得るために非常に大きな光学的開口度を持つ孔形状が亀甲型で電極リム幅 30 ミクロンおよび電極間ピッチ 330 ミクロンのモジュールサイズ (17 x 22 cm^2) GEM 型薄フォイルの開発を行っている。この GEM 型フォイルでは 10 V 程度の逆バイアスを印可することにより、10^-4 レベルの陽イオン阻止能が得られる。

本講演では、プロトタイプ TPC 検出器モジュールの性能評価として、55Fe 線源の X 線を用いた電子透過率測定の現状について報告を行う。電場解析ソフト ANSYS により計算された GEM 型フォイルの電場計算結果を Garfield++ に取り込み、ドリフト電子の振る舞いを詳細に検証することで測定結果との比較検討も行いたい。

Primary author

Dr Katsumasa IKEMATSU (Saga Univ.)

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